【全訳】かねて耳驚かしたる二堂…奥の細道・平泉

2015年1月19日 4:46 PM

 

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現在の中尊寺金色堂。岩手県平泉の観光名所で世界遺産にも登録されている。

かねて耳驚かしたる二堂開帳(かいちょう)す。(かねてからその評判を聞いていた二堂が開かれていた。)

 

経堂は三将の像を残し、光堂は三代の棺を納め、(経堂には三人(藤原清衡、基衡、秀衡)の像が残っており、光堂にはその三人の棺が納められ、)

 

三尊の仏を安置す。(そして阿弥陀三尊像が置かれている。)

 

七宝散りうせて、珠の扉風に破れ、金の柱霜雪(そうせつ)に朽ちて、(光堂をかざっていた宝は失われて、珠宝で飾られた扉は風雨でいたみ、金の柱は霜・雪によって朽ち果て、)

 

既に頽廃空虚(たいはいくうきょ)のくさむらとなるべきを、(もう少しで廃墟と化してしまうはずだったところを、)

 

四面新たに囲みて、甍(いらか)を覆ひて風雨をしのぎ、((後世の人たちが)四方を新しく囲んで、屋根をつけて雨風を防ぐようにしてある。)

 

しばらく千歳(ちとせ)の記念とはなれり。 ((新しい壁と屋根が朽ちるまで)またしばらくの間は、昔を思う記念となっているのである。)

 

 

五月雨の降り残してや光堂(あたりは雨で朽ちているが、この金色堂だけは光輝いている。あたかも五月雨がここだけには降らなかったかのように。)

 



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